「ニキビ痕(跡)を消したいけど方法がわからない」「ニキビ痕(跡)は自力で治せるの?」「ニキビ痕(跡)治療のことを知りたい」などといった悩みを抱えている方が多いと思います。
クリニックで受けられる「ニキビ痕を消す方法」、ニキビの主な原因やニキビとニキビ痕の種類について詳しく解説します。
ニキビ痕(跡)とは?
ニキビ痕とは、炎症を放置することにより、にきび皮膚が深いダメージを受け、傷痕痕が残ったものです。
ニキビ(尋常性ざ瘡)などの炎症を放置するとニキビ痕が残ることがあります。
そもそもニキビは、皮脂腺の付着した毛穴が詰まることがきっかけで発症します。
発症したばかりのニキビは、ほとんど目立ちませんが、毛穴内の炎症が強くなると膿んでしまったり、赤みを帯びたりします。
悪化したニキビは、毛穴周囲の正常な組織にも炎症が波及し、ダメージが広がっていきます。
このような状態になったニキビが皮膚の奥にある真皮にまでダメージが与えられると修復が難しくなり、赤みや色素沈着、凹み(クレーター)などが生じます。
ニキビができる主な原因は?
ニキビができる主な原因は3つあります。
- 「角化異常」
- 「皮脂の過剰生産」
- 「細菌感染」
これらは、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こります。1つずつ確認していきましょう。
①角化異常(毛穴のつまり)
肌への摩擦や体質、睡眠不足、紫外線による刺激などによって、角化(ターンオーバー)がうまくいかなくなると、角化が過剰に促進されるなどして、角質肥厚が起こります。厚くなった角層で毛穴の出口がふさがれ、ニキビの初期症状である角栓が形成されます。[/su_tab]
②皮脂の過剰生産
皮脂の過剰産生には、ホルモンバランスが影響しています。思春期に入ると男女ともに男性ホルモンの分泌量が増加します。この影響により、毛穴周囲の角化異常や細菌感染がおこりやすくなります。
③細菌感染
毛穴がふさがると毛包内に常在しているアクネ桿菌(p.acnes)などが増殖し、毛穴の炎症を誘発し毛包を破壊するなどの強い炎症を引き起こします。
ニキビとニキビ痕(跡)の種類
ニキビとにニキビ痕は、段階によって治療方法や痕の残りやすさが異なります。
それぞれどんな状態なのか、ニキビ痕になる可能性はあるのかなど確認していきましょう。
①自覚症状の少ない初期の白ニキビ(コメド・面皰(めんぽう))
毛穴の出口がつまり、皮脂が外にでられなくなってしまっている状態です。コメドや面皰とも呼ばれます。触ると少しザラザラしていますが、痛みやかゆみはありません。
白ニキビの対策
白ニキビは一見正常に見える皮膚にもたくさんできています。触ったり押しだそうとしたりしてはいけません。毛穴が傷ついて、炎症を起こして悪化する可能性が高くなります。白ニキビの段階では適切な処置を行えばにきび痕を残さずに治療できることがほとんどです。
②炎症を起こした赤ニキビ
詰まった毛穴の中に皮脂がたまることにより、アクネ菌が増殖します。アクネ菌は炎症を起こす物質を引き寄せるため、毛穴の周囲に炎症を引き起こします。炎症がひどくなると毛穴周りが赤く腫れて盛り上がり、触れると痛みやかゆみを伴います。
赤ニキビの特徴
赤ニキビの炎症によって、周囲の毛細血管が拡張したり、新たに作られることがあります。軽度の赤みであれば徐々に薄くなり消えていくことがほとんどですが、重度の場合は赤みが半年以上続くこともあります。赤みが改善しない場合はまずは保険治療が可能な医療機関へご相談されることをおすすめします。
③炎症後の色素沈着
赤ニキビの炎症から肌を守るために、メラノサイトがメラニン色素を大量に作り出し、色素沈着を起こすと茶褐色のニキビ痕になります。摩擦や紫外線などの影響でさらに色が濃くなることがあります。
炎症後色素沈着痕の特徴
炎症によって起こる色素沈着によって、患部は茶色くみえます。一見するとシミのように見えることもありますが、状態によってはレーザー治療などを行うと悪化することもあります。色素沈着になってしまった場合、保険治療では改善が難しいことが多く、保険外治療も可能な医療機関でご相談することをおすすめします。
④凹凸のあるニキビ痕(クレーター)
毛包壁が壊され、周囲の組織にまで炎症が広がった結果、肌の奥にあるコラーゲンが破壊されます。その炎症が治る過程で毛穴に沿って傷が収縮し、瘢痕を形成することで皮膚がクレーターのように凹んだ状態に変化します。
クレータの特徴
クレーターができるかどうかは、炎症のある赤ニキビができた範囲や炎症の強さ、治療を受けるまでの期間や炎症を繰り返した回数などが影響します。
ニキビ痕(跡)が出来てしまったら?自力で治す方法は?
ニキビ痕を自力で治せる方法はあるのでしょうか? ニキビ痕を悪化させないためのセルフケアも併せて解説します。
結論!自力でニキビ痕を治すことは困難
長引く赤みや色素沈着を起こしてしまった場合は、時間が経つと自然に目立ちにくくなってくることがあります。しかし、その後のセルフケアが適切でない場合には、シミが出来てしまったり、クレーターなどに進行してしまったりすることがあります。
シミやクレーター状のニキビ痕になってしまった場合は、ターンオーバーによる改善は期待できないため、自力で治すことは難しいでしょう。
ニキビ痕を治療したい場合は、医療機関に相談しましょう。
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ニキビ痕を悪化させないセルフケアを!
出来てしまったにニキビ痕を悪化させないためには、肌への刺激を減らすことが大切です。
医療機関でニキビ治療をしている途中でも、「ニキビ痕にしない」ために、セルフケアがとても重要です。
医師のアドバイスに従うとともに、次にご紹介するポイントを意識してみてください。
紫外線対策をする
紫外線を浴びると、肌のターンオーバーが乱れてにきびができる原因になります。また、ニキビの炎症を進行させ、ニキビ痕をつくるリスクも高めてしまいます。さらに、出来てしまった色素沈着も濃くなる可能性があります。外出時は、季節を問わず日焼け止めをしっかり塗り、夏場は日傘や帽子なども併用して対策をしましょう。
十分に睡眠を取る
眠っている間に分泌される成長ホルモンの働きにより、肌のターンオーバーが促されます。ニキビ痕が出来てしまった場合でも、適切なターンオーバーにより自然に改善する可能性があります。夜型の生活はできるだけ避け、まとまった時間の睡眠を十分にとることが大切です。
肌によい食事を取る
肌の材料となるたんぱく質、肌の新陳代謝を促したり皮脂量をコントロールしたりするビタミン類、腸内環境の改善に役立つ食物繊維などを積極的に摂りましょう。色素沈着が起こってしまった場合には、肌のターンオーバーを促すビタミンCの摂取もおすすめです。
やさしく泡で洗顔する
ニキビ治療にも、摩擦による炎症でニキビ痕が進行してしまうのを防ぐためにも、洗顔は大切です。しかし、皮脂が気になるからと1日に何度も洗顔をしたり、ゴシゴシとこするように洗ったりするのは避けましょう。洗顔料をツノが立つくらいまでよく泡立て、手が直接肌に触れないようにやさしく洗い、生え際やフェイスラインまでしっかりとすすぎましょう。皮脂が多い方は朝晩2回の洗顔がおすすめです。
ニキビ痕(跡)治療にはどんな方法がある?
時間が経つことで目立たなくなるニキビ痕もありますが、それだけでは太刀打ちできないものもあります。
クリニックなどの医療機関で受けられる代表的なニキビ痕治療の方法にはたくさんの種類があり、ニキビ痕の種類によって適応が異なります。
ニキビ痕の治療方法一覧
治療方法 | ピーリング | 光治療 | マイクロニードリング | レーザー | 注射 |
---|---|---|---|---|---|
長引く赤み | × | 〇 | × | 〇 | × |
色素沈着 | 〇 | 〇 | × | 〇 | × |
凹凸クレーター | △ | × | 〇 | 〇 | 〇 |
レーザー治療
レーザー治療では、機械の特徴や治療メニューにより期待される効果が異なります。一般的に、深いニキビ痕の治療ほどダウンタイムは長くなる傾向にありますので、大切なイベントの前などは注意が必要です。
こんなニキビ痕におすすめ
長引く赤みにはVbeam®やExcelV®などの色素レーザーの照射がおすすめです。主に血管内のヘモグロビンに作用し、赤みを改善する効果が期待できます。色素沈着にはピコレーザーを用いたトーニング治療がお勧めです。皮膚表面のメラニン色素を細かく破壊することで、色調を改善します。また、クレーター状のニキビ痕は、フラクショナルレーザーやピコレーザーのフラクショナルモードなどで真皮層深く熱エネルギーを発生させるとで改善へと導きます。
ダウンタイム
レーザー治療にはダウンタイムがあります。赤み治療の場合は数時間~数日程度の赤みやほてりが生じることがあります。
トーニング治療ではダウンタイムがほとんどないかあってもわずかです。
レーザーによるクレーター治療を行う場合は、照射後数日はかさぶたや出血を伴い、赤みやひりひり感は1~2週間ほど続きます。
光治療
光治療とはIPLという広域の特殊な光をフィルターにかけてそれぞれ照射し、赤みや色素沈着に直接働きかけます。フィルターの種類によってはアクネ菌に対する殺菌作用もあわせて期待できます。
こんなニキビ痕におすすめ
光治療は、長引く赤みと色素沈着のニキビ痕治療におすすめです。レーザー治療と同様にヘモグロビンやメラニン色素に光を吸収させることで破壊するので、内側からのニキビ痕改善が期待できます。
ダウンタイム
光治療のダウンタイムはほとんどありませんが、肌の状態によっては、赤み・ひりひりなどが数時間程度持続することがあります。色素沈着やシミの一部では一時的に色調が濃くなって、1週間程度でかさぶたのように自然に剥がれ落ちることがあります。
ピーリング
主なピーリングの種類
ピーリングは専用の溶剤で古い角質を溶かすことで、ターンオーバーが促されてメラニン色素を排出する手助けをしてくれます。一般的な「ケミカルピーリング」のほかにも、より深く真皮層に働きかける「コラーゲンピール」と呼ばれる種類のピーリングもあります。また、ニキビ痕治療だけでなくニキビ対策としてもピーリングは有効です。
こんなニキビ痕におすすめ
ピーリングは、主に色素沈着を起こしたニキビ痕におすすめです。ケミカルピーリングでターンオーバーを促すことにより、沈着した色素を少しずつ排出し改善につなげることができます。深いクレーター状のニキビ痕には、あまり効果は期待できませんが、小さな凹凸は何度か施術をくり返すうちに目立ちづらくなります。
ダウンタイム
- ケミカルピーリング
ほとんどありませんが、処置後しばらく、かゆみやヒリヒリ感が生じることがあります。
- コラーゲンピール
溶剤の種類によっては赤み、ひりひりが数日続くことがあります。溶剤の濃度によっては皮膚がただれるなどして、色素沈着を起こす可能性があります。
マイクロニードリング
出典:https://www.dermapenworld.com/
マイクロニードリング治療は、ダーマペン®などの治療器具を使用し、とても細い針を使って、皮膚に無数の小さな穴を開ける治療法です。治療メニューによっては、マイクロニードリングで開けた穴に、肌悩みに合わせた美容成分を直接塗布することで、真皮の浅い層にダイレクトに成分を届けることができます。
こんなニキビ痕におすすめ
マイクロニードリング治療では、約3.0 mmまで針の深さを設定できます。ニキビ痕の凹みの深さに合わせてニードルの深度を調整することが可能です。併用する薬剤の種類によっては、より深く浸透し真皮層にあるコラーゲンやエラスチンの生成を促進させることで、比較的浅いニキビ痕の凹みの改善が期待できます。
ダウンタイム
数日~1週間程度、赤みや点状出血、内出血、腫れ、かゆみ、ヒリヒリ感などが生じる場合があります。併用する薬剤によってダウンタイムは異なる場合があります。
注射・注入
ニキビ痕の凹凸に対して注射や注入治療を行う場合があります。膨らみのあるニキビ痕(肥厚性瘢痕)にはステロイド(副腎皮質ホルモン)注射を行うことがあります。ニキビ痕の凹み(クレーターなど)には、ヒアルロン酸やPRP(多血小板血漿)を注入することがあります。
こんなニキビ痕におすすめ
膨らみのあるニキビ痕や、比較的深いニキビ痕におすすめです。ステロイドの局所注射については健康保険が適応になることがあります。
ダウンタイム
注射をした箇所に数日間、赤みや内出血が生じることがあります。注入治療の場合、アレルギー反応や異物反応、神経損傷、血管塞栓などの合併症が起こる可能性があります。
ニキビ痕(跡)治療のQ&A
ここからは、ニキビ痕治療に関する気になる疑問を、Q&A形式で解説します。
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皮膚科と美容クリニックではどちらが良い?
ニキビ痕治療は出血や傷を伴うアグレッシブな治療となることが多く、新しくにきびができている状態ではおすすめできません。
まだ新しいニキビが出来る場合は、保険診療を行っている皮膚科への受診をおすすめします。皮膚科では主に内服薬や外用薬でニキビ治療を行います。
皮膚科の保険診療で治らなかったニキビや、美容目的のニキビ痕)治療を受ける場合は「美容クリニック」での治療を検討しましょう。
美容クリニックでの治療の多くは保険適応外となりますが、ニキビ痕やシミなどの美容治療において、薬剤やレーザーなどの医療機器を使用した幅広い治療を受けることができます。
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ダウンタイム中に気を付けることは?
ニキビ痕治療のダウンタイム中は、保湿と紫外線対策を十分に行いましょう。
レーザーやダーマペンでニキビ痕治療を行った場合、皮膚には小さな傷がたくさんあり肌がとても敏感になっています。その状態で紫外線を浴びると、色素沈着を起こしやすくなります。このような事態を防ぐために、紫外線対策をしっかりと行いましょう。
また、施術後は一時的に乾燥が目立つことがあります。乾燥によって炎症が長引くことがあるため、保湿ケアも重要です。
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複数の施術を同時にできる?
治療メニューや施術の内容によっては同時施術が可能な場合もあります。
ピーリング治療は他の治療の効果を促進する場合もあり、他の施術と組み合わせて治療することがあります。またピコレーザーでは、色素沈着に対するトーニング治療と、クレーターなどの凹凸に対するフラクショナル治療を重ねて行うコンビネーション治療があります。
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治療によってニキビ痕が悪化することはない?
ニキビ痕治療はとても根気のいる治療になります。
ニキビ痕治療の多くは、肌をあえて傷つけることで皮膚を刺激し、傷を治す働きを促すものです。傷をつけた後のスキンケアが適切でない場合や、施術前のニキビ治療が不十分であった場合などはニキビ痕が余計に悪化したり、新しいニキビができる原因になったりすることがあります。
ニキビ痕治療を受ける際は、必ず医師の診察を受け、自分の肌の状態に合わせた適切な施術メニューを選択するようにしましょう。
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ニキビ痕治療に保険は適応される?
ニキビは、「尋常性ざ瘡」という皮膚の疾患なので、保険適応の範囲内で治療を受けることが可能です。
しかし、見た目や形の改善を目的とする「ニキビ痕」治療については使用する医療機器や薬剤の関係から、保険の適応されない自費診療になることがほとんどです。
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施術後は家でスキンケアできる?
施術後、スキンケアができるかどうかは施術内容によって異なりますが、6~7時間あけてスキンケアが可能になる治療メニューがほとんどです。
クリニックによっては、スキンケアが処方される場合があるので、その際は、処方されたスキンケアを使用するようにしましょう。また、治療メニューによっては、保湿やクーリング、鎮静パックなどのアフターケアを受けることが可能な場合もあります。
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治療期間はどの程度かかる?
ニキビ痕治療の期間は肌の状態や選択した治療の方法によっても異なります。
軽度のニキビ痕の場合、1回の治療でも効果が見られることがありますが、多くの場合は複数回の治療が必要です。予算や、目標とする肌の状態のゴールをカウンセリングの時点で相談しておくとよいでしょう。